20世紀初めに「利口なハンス」と呼ばれた馬がいた…
20世紀初めに「利口なハンス」と呼ばれた馬がいた。この訓練された馬は前脚で床をたたく回数や、頭の動きで数字やアルファベットを表現し、四則計算はおろか分数と小数の変換や、日付や時刻も答えられたのだ。何かのトリックが疑われたのは当然である▲だがハンスは飼い主のいないところで、トリックを疑う人の質問にも答えられた。科学者による調査委員会までが「トリックはない」と結論し、ハンスの知性は裏付けられたかにみえた。だがほどなく馬に計算能力はなかったことが実験で判明する▲実はハンスは床をたたく際、質問者が正解の時に示す無意識のわずかな態度の変化を読んで足を止めていたのだ。何も飼い主がそう訓練したのではなく、正解でもらえるエサ欲しさに独習した技に飼い主もだまされていたのである(安斎育郎著「だます心 だまされる心」岩波新書)…
(毎日新聞 2007年12月5日東京朝刊より)
私も毎週、ハンスにだまされていますw。
今週もたくさんのハンスが競馬場を走ります。